抜きゲーの限界

 「淫烙」コンプ。詳しいレビューはErogameScapeの方に書こうと思うが、抜きゲーとしては、おそらくこれ以上はなかなか望めないのではないと言っていいレベルのパフォーマンスだったと思う。
 ちょっと話は逸れるが、「淫烙」を一通りプレイしてみて、実際輪姦系陵辱ゲーとしては期待通りのものが揃ってたわけですよ。だから本来ならウハウハな筈。シーン数も多いし、CGは美麗だし、テキストも昨日書いたように頑張ってる。だけどそれでもやっぱり、何処か微妙なんだよね。20の破壊力のシーンが、全て20のパフォーマンスを発揮できてるとはどうにも思えない。
 逆にシーン「だけ」切り離して取り出してみれば20に劣る15のポテンシャルを持ったシーンが、20を超えるパフォーマンスを発揮したりするわけで。例えば……『瀬里奈』とか。
 この辺に、今の所謂「抜きゲー」(ここでは主に陵辱ゲーを念頭に置く)のある種の限界点が見えているような気がしてならない。声、CG、差分、テキスト、尺、シーン数。これらがあるポイントまで充実しきった時、「次」は何処にあるのか。俺はその「次」とはキャラ立てと物語の充実にあると思った。純愛ゲーに匹敵するほどキャラを立て、主人公(陵辱者にせよヒロインにせよ結果的にNTRされる側にせよ)にしっかりと感情移入し得る物語を作る。そのブレイクスルーを果たすブランドはアトリエかぐやだと信じて疑わなかったわけだけど、どうやら現時点ではそれは果たされていない。それを果たした作品、例えば『隷嬢倶楽部』は(そのうちESにレビューを書きたい)は、しかしそれを世に出したディーオーは沈黙している。
 ただ一方で、そんな「下準備」が抜きゲー界隈でどの程度ユーザーに受け入れられるのかは疑問もある。何時間もかけてそれでもなかなかエロシーンに辿り着かない、とか。それに、ある程度の材料(萌えポイント)を提示すれば、ユーザーはもれなくそれなりのレベルまで脳内補完してくれるし。
 それならキャラを一人に絞って、自動的に物語をそこに結集させるってのはどうかと考えたが、例えば『もみじ』なんかはそんな感じだったけど、後は続いてない。射程範囲が狭まるから当然かもしれないが。
 ううん。なんだか書いてるうちによく分からなくなってきたかも。